沖ノ端の写真を見る人は柳、栴檀(せんだん)、石榴(ざくろ)、櫨などのかげに、しかも街の真中を人工的水路の、水もひたひたと白く光っては芍薬の根を洗う洗濯女の手に波紋を描く夏の真昼の光景に一種のある異国的情緒が微かに漂うのを感じるであろう。あ…
柳河を南に約半里ほど隔てて六騎(ろっきゅ)の町沖ノ端がある。(六騎とはこの街に住む漁夫のあだ名であって、昔平家没落の砌(みぎり)に打ち洩らされた六騎がここへ落ちてきて初めて漁(すなど)りに従事したという、そしてその子孫が代々その業を受け継…
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